Craftsmanship

菰 織 り

昔はどこの農家にも1台は置いてあった織機、現在ではほとんど見かける事がなくなりました。
矢野三蔵商店では数台の織機が現在も休む事なく菰を織り続けています。
今では新品の織機は入手困難です。壊れた部品は修理し、常に最高の状態で菰が織れる様に機械の面倒を見るのも菰織り職人の仕事であります。また、菰に使われている藁は酒米として有名な山田錦の稲藁を使用しています。日本酒の入った酒樽をその稲藁で織った菰で巻くという実に合理的な構図となっております。

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1竿の動きに合わせて1本1本藁を⼊れます。藁の⼊れ具合と機械の微調整で出来が左右します。

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2藁と⿇⽷を交互に編み込んでいく。藁を1本通しては詰めるの繰り返しにより菰が仕上がっていきます。

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3織り終わった菰にのり(コモ塗料)を塗ります。

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4塗り終わった菰を丸1⽇天⽇⼲しにし乾かします。

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5(下準備)縄の原反を縄撚り機へセットします。

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6(下撚り・本撚り)セットしたものを撚り合わせる事により縄へと仕上げていきます。

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7(下撚り・本撚り)セットしたものを撚り合わせる事により縄へと仕上げていきます。

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8(寸法取り)機械によって出来上がった縄(玉縄)を必要な長さにカットしていきます。

転 写

菰樽の正面部分には髭文字で化粧された銘柄や、めでたさを象徴する鳳凰や松竹梅、鶴、亀などの絵柄が描かれています。その正面部分を印前(しるしまえ)と呼びます。職人による菰樽印前の制作過程の紹介です。

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1転写紙の上にスクリーン版をセットしスキージで⼀⾊づつ⾊をのせていきます。

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2出来上がった転写フィルム(左右反転)

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3スクリーン印刷に使う各インクを調合

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4熱をかけながらプレス。転写フィルムをめくるとインクだけが菰に転写されます。

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5各蔵元の住所版や容量表⽰⽤の菰樽印

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6昔は鉄を熱して菰に焼付けていましたが、現在はPP製の菰の採⽤によりゴム版を使⽤しています。

菰 巻 き

めでたさの象徴である菰樽。その菰樽を仕上げる(菰を巻く)職人を荷師と呼び、菰を巻く作業を荷造りといいます。もともと荷師の仕事は力が必要な為、男の仕事とされてきました。縄を締める力加減とバランスが仕上がりの良し悪しを決めます。

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1樽に菰を沿わせ巻きつけます。(閉じ縄)

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2菰樽の上部を約4mの縄を使って、めでたさの象徴である亀をイメージした亀甲文様に編みこみます。

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3酒樽には酒を入れる為の穴(天星)と出す為の穴(腹星)が開けられています。
荷師はその部分に赤い紙を巻きます。この赤紙によって樽が封印されている事が証明され中身の品質が保障されます。

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4立縄(たつなわ)をかける職人。菰樽を移動させる際の持ち手となる縄である為、しっかりとした太い縄が使われます。

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5立縄に対して上下2箇所に縄をかける(横縄)立縄と横縄が結びつく事により
縄がしっかりと固定され、よりきつく締まります。

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6撥(バチ)で叩き形を整えながら縄をかけて
いきます。最後の結びは男結び。

荷造りに使う道具

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撥(バチ)

樫の⽊で出来ておりたたく、こする作業を担う。縄は叩いて締める事により菰に馴染みより強く締める事ができる。

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柔らかく粘りのあるグミの⽊を削り出して作ったもの。
職⼈が⾃分の⼿に合った⼤きさ、形に仕上げている。現在はステンレス製の特注品を使⽤(⻑さ約30cm)

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カマ

太い縄を素早く切るにはカマが最適。常に研ぎ澄まされた⻭は職⼈魂を感じる。

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押し切り

昔は農家に必ずあった道具。樽の⾼さに対して菰が⻑すぎる時に使う。